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中国 労働時間・残業代・就業規則
中国の労働時間は、どうなっていますか?
標準労働時間は1日8時間以内、1週40時間以内です。
また、週少なくとも1日の休日が必要です。
残業させることは、できますか?
残業させることはできますが、労働法により残業時間の上限が定められています。
具体的には、原則として1日について1時間のみです。
もっとも、残業を行う特別な事情がある場合は、労働者の健康保障を条件に、1日につき3時間まで延長することが認められています。
なお、1ヵ月の時間外・休日労働(法定祝祭日労働を含む)の上限は36時間と定められています。
また、中国では労働者に対して会社が一方的に残業を命じることはできないため、必ず、事前に労働者等と協議する必要があります。
残業させた場合、割増賃金はどうなりますか?
中国の標準労働時間である1日8時間、1週40時間を超過した場合は、時間外労働となるため、会社が労働者に残業代(割増賃金)を支払う義務があります。
平日の残業は、労働者の時給の150%、土日の残業は労働者の時給の200%、法定祝祭日の残業は労働者の時給の300%で、それぞれ残業を計算します。
なお、土日の残業については、労働者に代休を与えれば、残業代を支給する必要はありません。
法定祝祭日とは、何ですか?
中国では、労働者全員に適用される法定祝祭日と、一部の労働者にしか適用されない法定祝祭日があります。
法定祝祭日に働かせると、労働者の時給の300%を残業代として支給する必要があります。
- ①労働者全員に適用される祝祭日(11日)
- ・元旦
- 1月1日
- ・春節
- 旧暦1月1日、2日、3日
- ・清明節
- 4月5日
- ・労働節
- 5月1日
- ・端午節
- 旧暦5月5日
- ・中秋節
- 旧暦8月15日
- ・国慶節
- 10月1日、2日、3日
- ②一部の労働者に適用される祝祭日
- ・婦女節
- 3月8日(女性は半日休暇)
- ・青年節
- 5月4日(満28歳以下の青年は半日休暇)
なお、一部の労働者にしか適用されない法定祝祭日が平日である場合、労働者は半日休暇を取る権利を有しますが、休暇を取らずに勤務したとき、会社は当該勤務を残業として労働者に3倍賃金を支払わなくてもよいとされています。
不定時労働時間制とは、何ですか?
中国の労働時間法制では、標準労働時間制度の例外として、一定の職種に従事する労働者に対して、原則として労働行政部門の事前許可を条件に不定時労働時間制(日本でいう裁量労働時間制)を実施することを認めています。
不定時労働時間制度とは、所定労働日における出退勤時刻をあらかじめ固定せず、標準労働時間制度及び時間外労働規制(1日あたり原則1時間、月36時間)に縛られない弾力的な労働時間制度です。
不定時労働時間制度が認められている職種は、下記の通りです。
- ①会社の高級管理職、事業外で業務に従事する者、販売業務に従事する者、当直勤務に従事する者及び標準労働時間に基づいて評価できない業務に従事している者
- ②長距離運転手、タクシー運転手、鉄道、港湾及び倉庫の荷役従事者並びに業務の特殊に基づき臨機応変な対応が求められる業務に従事する者
- ③生産の特徴や業務の特殊性に基づく必要性または職責範囲の点から、不定時労働時間制の実施に適する労働者
総合労働時間制度とは、何ですか?
総合労働時間制度(日本でいう変形労働時間制)は、業務の特殊性により連続して業務を行うことが困難もしくは自然条件により業務が制限される場合に、週、月、季、年を単位として平均して1日8時間、1週40時間の労働時間を超えない範囲内で働かせることができる制度です。
総合労働時間制が適用される労働者は、変形期間(週、月、季、年)ごとに計算される労働時間が法定労働時間となります。
この変形期間における法定労働時間を超え、労働させた場合、超過労働時間につき、残業代が発生します。
総合労働時間制度が認められている職種は、下記の通りです。
- ①交通、鉄道、郵便、水運、航空、漁業などがその業務の特殊性によって連続して業務を行う必要がある場合
- ②地質もしくは資源の調査、建築、塩の製造、砂糖の製造、旅行など季節および自然条件により業務の一部に制限を受ける場合
- ③その他総合労働時間制を実施することが適当な労働者の場合
就業規則作成の有効条件とは?
「最高人民法院の労働争議事件の法律適用の若干問題に関する解釈」第19条によると、会社が「民主的手続を経て作成した規則制度が、国の法律、行政法規および政策規定に違反せず、かつ、従業員に対して既に公示されている場合には、人民法院は、これを労働紛争事件審理の根拠とすることができる」とされています。
これにより、有効な就業規則にするには、下記の3条件を満たす必要があります。
- ①その内容が法律・行政法規・政策規定に違反していないこと
- ②作成時に、民主的手続を経ていること
- ③作成後に、従業員に公示していること
就業規則作成時の民主的手続とは?
労働契約法第4条第2項によると、「使用者は、労働報酬、勤務時間、休憩、休日及び休暇、労働安全衛生、保険、福利厚生、従業員研修、労働規律および労働ノルマの管理などの労働者の切実な利益に直接関わる内部規定または重要事項を制定し、改正または決定する場合、従業員代表大会または全従業員における討論を経て、案及び意見を提出し、工会または従業員代表と平等に協議して、これを確定しなければならない」としています。
これにより、就業規則作成時には、下記のプロセスを経る必要があります。
- ①会社が就業規則案を作成する
- ②従業員代表大会または従業員全員の議論を経て、その意見を聞く
- ③工会または従業員代表と協議する
- ④完成した就業規則を公示するか、従業員に告知する