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中国 労働契約解除・解雇・経済補償金
スタッフを解雇する予定ですが、注意点はありますか?
中国では、労働契約の解除が可能な法定事由が生じた場合、労働者を解雇することができます。
このため日本とは異なり、労使間で約定した解雇事由に基づいて労働者を解雇する場合、違法解雇と判断される可能性があります。
どのような場合に解雇することができますか?
労働契約法によると、解雇の種類を①普通解雇、②即時解雇、③整理解雇に分けて規定しています。
労働者を解雇する場合、上記解雇種類のいずれに該当するのかを検討しなければなりません。
普通解雇とは、どのようなケースですか?
労働契約法によると、以下の事由のいずれか1つに該当する場合、使用者は30日前までに書面により労働者本人に通知するか、または労働者に対し1ヵ月の賃金を別途支給した後、労働契約を解除することができます。なお、この場合、経済補償金を支給する必要があります。
- ①労働者が疾病または業務外で負傷し、規定の医療期間満了後に元の業務に従事できず、使用者が手配した他の業務にも従事できない場合
- ②労働者が業務に堪えることができず、訓練または職務調整を経た後も、なお業務に堪えることができない場合
- ③労働契約締結時に依拠した客観的な状況に重大な変化が生じたことで労働契約の履行が不可能となり、使用者と労働者が協議を経ても、労働契約の内容変更について合意できなかった場合
即時解雇とは、どのようなケースですか?
労働契約法によると、労働者が以下の事由のいずれか1つに該当する場合、使用者は労働契約を解除することができます。なお、この場合、経済補償金は支給する必要はありません。
- ①試用期間中に採用条件を満たしていないことが証明された場合
- ②使用者の規則制度に著しく違反した場合
- ③重大な職務怠慢または私利のために不正を行い、使用者に重大な損害を与えた場合
- ④労働者が同時にその他の使用者と労働関係を構築し、本使用者の業務の完成に重大な影響を与えた場合または使用者が異議を申し立てた後も是正を拒否した場合
- ⑤労働者が詐欺、脅迫の手段を用いて、または使用者の弱みにつけ込み、使用者の意思に反する状況において労働契約を締結または変更し、当該労働契約が無効になった場合
- ⑥法により刑事責任を追及された場合
- ⑦労働者が労働契約の締結を拒否した場合
整理解雇とは、どのようなケースですか?
労働契約法によると、以下の事由のいずれか1つに該当し、20人以上または労働者総数の10%以上の労働者を削減する必要がある場合、使用者は30日前までに工会または全労働者に対して状況を説明し、工会または労働者の意見を聴取した後に、人員削減案を労働行政管理部門に報告した上で、労働契約を解除することができます。なお、この場合、経済補償金を支給する必要があります。
- ①企業破産法の規定によって企業再生を行う場合
- ②生産経営に重大な困難が発生した場合
- ③生産転換、重大な技術革新または経営方式に調整があり、労働契約変更後においても、なお人員削減が必要である場合
- ④その他の労働契約締結時に依拠した客観的な経済状況に重大な変化が起こり、労働契約の履行が不可能となった場合
経済補償金とは何ですか?
経済補償金とは、労働者の退職時に使用者が支払う金銭のことをいいます。
日本の退職金制度とは異なり、経済補償金を支払うか否か、またその金額をいくらにするかは法律で定められており、会社が独自に決定することはできません。
どのような場合に経済補償金が必要ですか?
労働契約の終了または解除の場合、会社は必ずしも労働者に経済補償金を支給しなければならないわけではなく、支払い義務はその状況に応じて異なります。
原則として、労働契約の終了または解除に、労働者の過失がなければ、経済補償金の支払い義務が発生することとなります。
経済補償金の計算方法は?
労働契約法によると、経済補償金は以下のとおりに計算します。
経済補償金=①基礎賃金×②勤続年数に対応する月数
- ①基礎賃金とは、労働契約解除または終了時の労働者の賃金ではなく、労働契約解除または終了時の労働者の直近12ヵ月間の平均賃金のことをいいます。なお、労働者の勤務期間が12ヵ月未満の場合は、実際に勤務した月数に従い、平均賃金を計算します。
- ②勤続年数に対応する月数とは、
- ・勤続年数満1年ごと
- 1ヵ月分の基礎賃金
- ・6ヵ月以上1年未満の部分
- 1ヵ月分の基礎賃金
- ・6ヵ月未満の部分
- 0.5ヵ月分の基礎賃金
したがって、勤続5年3ヵ月の労働者が退職し、会社が経済補償金を支払う場合、5.5ヵ月分の基礎賃金を支払うことになります。
経済補償金に上限と下限はありますか?
労働者の基礎賃金(直近12ヵ月の平均賃金)が、会社所在地の前年度労働者月平均賃金の3倍を上回る場合、その労働者に支給する経済補償金の基礎賃金額は、会社所在地の前年度労働者月平均賃金の3倍を基準として計算します。
また、この場合、経済補償金の算定基礎となる勤続年数は、12年が上限となります。
なお、基礎賃金及び勤続年数の上限に関する規定は、労働契約法が施行された2008年1月1日以降における経済補償金の計算にのみ適用されるものなので、注意が必要です。
経済補償金の基礎賃金は、会社所在地の最低賃金を下回ってはなりません。